

~感情と身体の“つながり”に気づいたとき、力が抜け始める~
「何もしてないのに、手がぐっと曲がってくる」
「“力を抜いて”と言われても、うまく抜けない…」
脳卒中の後遺症でよく見られる“筋肉の勝手な緊張”。
これは「痙縮(けいしゅく)」と呼ばれ、脳のダメージによって筋肉の制御が難しくなる状態です。
でも実はそれだけでなく──
その力みは、“気持ちの緊張”が引き金になっていることも多いのです。
力が入ったとき、まずは自分にこう問いかけてみましょう。
たとえば:
このように、筋肉の緊張が「心の反応」とセットで起きていることに気づけると、
「力んでしまう自分を、責めなくてよくなる」のです。
脳卒中後の脳は、まだ混乱しています。
そんな中で「不安」や「恐怖」を感じると、身体は身を守ろうとして、無意識に“ギュッ”と力を入れます。
これはまるで、自動車のブレーキが勝手にかかっているような状態。
つまり、気持ちが緊張すると、身体も守りの姿勢に入ってしまうのです。
次のような簡単なメモを1日1回つけてみましょう。
いつ?(時間帯・場面) | 身体の反応(どこが力んだ?) | 気持ち(どんな感情?) |
---|---|---|
昼食後、コップを持とうとした | 右腕がぐっと縮こまった | こぼしそうで焦った |
リハビリ中に立とうとした | 左足がピーンとつっぱった | 転びそうで怖かった |
家族に「がんばって」と言われた | 全身がこわばった | プレッシャーを感じた |
このような「自分の心と体の反応」を客観視することで、脳と筋肉のつながり”やさしくほぐしていく”ことができます。
ご本人が「自分の心に気づけるようになる」までには時間がかかります。
そのため、家族の声かけがとても大切です。
→ このように「結果」よりも「気持ち」に寄り添う声かけが、身体の緊張を自然にゆるめていく力になります。
筋肉が勝手に力んでしまうのは、身体が悪いからではありません。
その裏には、必ず「心の動き」があります。
だからこそ──
✅「今日はなぜ力が入ったのか」に気づけただけで、それは“リハビリ”になっているのです。
焦らず、責めず、自分の“感じていること”を見つめる。
それができる人から、少しずつ、身体の“余白”が戻ってきます。
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