

~「いつもの姿勢」が回復を止めているかもしれません~
退院して自宅に戻ると、少しほっとしますよね。
ベッドも布団も椅子も「いつも通り」。
でも──その「いつも通り」の姿勢こそが、知らぬ間に手足の回復を止めているかもしれません。
特に脳卒中後は、無意識の姿勢の“癖”が、麻痺側のこわばりや痛みを悪化させる原因になります。
「姿勢なんて、どうせ変えられない…」とあきらめないでください。
姿勢はほんの少しの気づきと工夫で、大きく変わります。
ここで、ひとつ質問です。
今日一日、あなたはどんな姿勢で過ごしていましたか?
すぐに思い出せないなら、それが「無意識」になっている証拠です。
たとえば──
そして、その姿勢のとき、どんな気持ちだったか?も思い出してみてください。
疲れていた? ぼんやりしていた? 不安だった?
姿勢と気持ちはつながっていて、両方を見直すことが回復の鍵になります。
姿勢は、一気に直そうとしなくて大丈夫。
まずは、以下のタイミングで“1日3回だけ”チェックする習慣をつけてみましょう。
タイミング | 確認ポイント例 |
---|---|
起床直後 | 枕の位置、腕・足の置き方、背中のねじれ |
昼食後 | 身体の左右の傾き、麻痺側の腕が下がっていないか |
就寝前 | 手足にクッションや支えがあるか、骨盤の傾き |
スマホで「横から」「正面から」写真を撮って確認すると、客観的に見直しやすくなります。
ご本人だけでなく、ご家族と一緒にチェックできるのも大きなポイントです。
患者さんの姿勢は、ご本人だけでは気づきにくいものです。
「ちょっと傾いてるね」「このタオル、下に入れてみようか?」など、責めずに声かけをしながら二人三脚で調整していきましょう。
悪い姿勢の例 | 起こりうる問題 | 簡単にできる対策 |
---|---|---|
麻痺側の腕がソファの外にだらんと落ちている | 肩の亜脱臼、痛み | 肘の下にクッションを置く |
イスに浅く座り、背中が丸くなっている | 呼吸が浅くなる、疲れやすい | 骨盤の下に座布団で高さ調整 |
食事中に身体が片側に傾いている | 背骨や骨盤のゆがみ、疲労感 | テーブルの位置や座面の高さを調整する |
姿勢を意識することは、いまの自分の状態に“気づく”ための第一歩です。
回復は、劇的に変わる瞬間だけではなく、地道な日常の積み重ねから生まれます。
あなたの体と心は、日々変わっています。
その変化に「気づける人」こそが、回復への道を自分の手でつくっていけるのです。
✅ 明日の朝、ベッドから起きたときに「自分の姿勢」をひとこと声に出してみましょう。
例:「ちょっと右に傾いてる」「足が丸まってる気がする」
その気づきが、あなたの回復を変えます。
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